難が有るのは有り難い人生 難が無いの無難な人生

あけましておめでとうございます。毎年、「本年こそ何事もなく一年が過ぎて欲しい」と願いますが……現実は思い通りにならないのが私たち人間の世界です。一方で苦難に遭うと、何が大切かを知らされます。

仏教は当たり前の尊さに気付かされる教えです。例えば、私たちの先祖について考えてみましょう。親が2人、祖母と祖父が4人、曾祖母と曾祖父が8人……と先祖は2の倍数で増えていきます。現代の初産平均年齢は30歳といわれますが、江戸時代以前は16歳だったそうです。

仮に一世代を20年で計算をしてみると、大正から昭和に年号が変わった100年前の1926(大正15 / 昭和元)年は「32人」、
シーボルト事件で有名なドイツ人医師・シーボルトが江戸幕府を訪れた200年前の1826(文政9)年は「1024人」、
暴れん坊将軍で有名な徳川吉宗が活躍していた300年前の1726(享保12)年は「32768人」、
さらに浄土真宗の宗祖である親鸞聖人がいらっしゃった800年前の1226(嘉禄2)年は……なんと1兆人を超える「1,099,511,627,776人」の私の先祖が存在していたことになります。

さらに遡ることもできますが、この無限の先祖が1人でも欠けていれば、いまの私は存在していません。
私が今ここに存在している事実の背景には、計り知れない「いのちのつながり」があるのです。
年末ジャンボ宝くじの1等7億円の当選確率が「1/20,000,000」、つまり2千万人に1人の確率ですから、私たちが新たな年を迎えるということは宝くじの当選よりも驚くべきことだったのです。

人生は平穏無事を願います。しかし映画の場合、何も事件が起こらない平穏なストーリーの作品は誰も見ません。さまざまな葛藤や事件があり、それを乗り越えてゆくところに感動が生まれます。

人生も苦難があるからこそ、そこに喜びや感動があります。無駄だと思うことや嫌な事柄も「私の人生に必要なことだった」と深く知らされるのが仏教の教えの魅力です。

中国の毛沢東が「雀は穀物を食べる害獣である」と、中国全体の雀を国民総動員で殺して絶滅させたことがありました。すると害虫が急増し、作物が取れなくなり、大飢饉が起こって数千万人の死者が出ました。最終的に中国はロシアから雀を輸入して問題を解決したといいます。
中国は「雀は無駄な存在である」と考えていたようですが、実はそうではなかったのです。いのちの世界や人生の意味は人間の価値観では簡単に計ることができません。

とある30代の女性が腎臓癌で亡くなりました。2年間の闘病生活中、彼女が2人の子どもたちに宛てて書いた手紙が葬儀の際に紹介されていました。自分が先立つことを「ごめんね」と何度も謝り、次のように書かれていました。

人生に無駄なことは何一つありません。お母さんの病気も、死も、あなたたちにとって何一つ無駄なこと、損なことにはならないはずです。大きな悲しみ、苦しみの中には必ずそれと同じくらいの……いや、それ以上に大きな喜びと幸福が隠されているものなのです。〇〇ちゃん、□□ちゃん、どうぞそのことを忘れないでくださいね。

この一年もさまざまなことがあると思います。深く生かさせていただきましょう。

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2026年01月01日