緊急事態宣言が解除されてしばらく経ちました。
自粛期間中にも関わらず外出する人を取り締まる(批判する)人のことを「自粛警察」と揶揄する風潮がありました。
もちろん、「自粛警察」と呼ばれる人たちは「私が自粛警察です」と自ら名乗っているわけではありません。
「あいつは自粛警察だ」と揶揄する側の人たちが名付けています。
ところがそこからもう一歩引いて考えてみると、「自粛警察」と揶揄して批判している人たちは、自粛警察を取り締まる「自粛警察警察」となっているのではないでしょうか。
そして、「自粛警察警察」の存在を指摘している私もまた「自粛警察警察警察」になっているのかもしれません。
他にも最近ではインターネット上における誹謗中傷がよくニュースになっています。
具体的な現場を知るためにSNSを覗いてみたところ、確かに「芸能人を誹謗中傷する人」はたくさんいるのですが、それと同じくらい「芸能人を誹謗中傷する人を誹謗中傷する人」もたくさん見受けられました。
そんな現状を俯瞰した次のような投稿が多くの「いいね」を集めて注目をされていました。
「誹謗中傷をして◯◯さんを死に追いやるなんて許せない」と思う気持ちこそが、次に死者を生み出す。
「自分は正義である」と思ったとき、人は残酷になる。
その通りであると思うのですが、実は注目を浴びたこの投稿自身も「誹謗中傷する人を誹謗中傷する人」を否定している言葉に他なりません。
「自分が正義だと思っている人」に対して、「あなたは間違っている」と正義をふりかざした瞬間に負の輪廻に取り込まれています。
……などと冷静に言っているこの記事も、いま紹介した「誹謗中傷する人を誹謗中傷する人を否定する人」を否定しています。
正しいことを言っているようで、結局は誰かを否定して自分の正義を掲げる行為は「負の輪廻」の一部です。
煩悩を持った人間は、生きている限り他者の否定から逃れることはできません。私たちは普通に生きていたら知らず知らずに負の輪廻に取り込まれてしまうものです。
負の輪廻を断ち切れない以上、いかに負の輪廻に取り込まれないようにするかが大切になってくるのではないでしょうか。
合掌