Q. 年忌は亡くなった何年後に行うのですか?

 

ご法事は一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌……とお勤まりになります。この周期はどのように決められているのかご存知でしょうか。どうやら、インドの習慣や中国の儒教思想などの影響に基づいていると考えられているようです。

まず、御命日から1年後に勤まる「一周忌」は、儒教の『礼記(らいき)』という書物にある「小祥忌(しょうしょうき)」という行事が元になっています。「小祥忌」とは、親を亡くして13ヶ月して行われる祭祀のことです。これをキリの良い1年(12ヶ月)で計算し、仏教でも一周忌のご法事をお勤めいたします。

次に、御命日から2年後に勤まる「三回忌」です。こちらもまた『礼記(らいき)』という書物の「大祥忌(だいしょうき)」という行事が元になっています。「大祥忌」とは、親を亡くして25ヶ月して行われる祭祀のことです。これをキリの良い2年(24か月)で計算し、仏教でも三回忌のご法事をお勤めいたします。
ちなみに「御命日から“2”年後」なのに「“三”回忌」なのは、古くからの習慣のために仏教では「数え年」で年数を数えるためです。

御命日から6年後に勤まる「七回忌」は、十二支の半分が終わった折り返しという意味があり、12年目の「十三回忌」は十二支がちょうど1周したところという意味があります。同じように2周した24年後に「二十五回忌」、3周した36年後に「三十七回忌」をお勤めいたします。十二支は、中国・日本において古来より重視されてきた暦法であり、現在も仏事においてはこのように影響が多く残っております。

御命日から16年後の「十七回忌」と26年後の「二十七回忌」は、『主格問答(しゅかくもんどう)』という書物にある中国の唐の代宗皇帝(だいそうこうてい)という人の故事に由来するという説と、古代インドでは7進法を用いられていたために7がつくところがキリのいい数字であるとする説などがあります。

さらに十七回忌から数えで7年後(満6年後)に「二十三回忌」が勤まります。同様に、二十七回忌から「数えで7年後(満6年後)」に「三十三回忌」が勤まります。

3と7という数字は、仏典などで区切りの数字として多く用いられているので、年忌の区切りに採用されているという説もあるそうです。

そして、御命日から十二支の4周する48年後に「四十九回忌」……ではキリが悪いので、49年後に「五十回忌」を勤めます。そこから五十年ごとに「百回忌」「百五十回忌」「二百回忌」となります。

非常にややこしくて分かりにくいですね。諸説はありますが、以上が現在まで伝えられているご法事の周期の由来です。

さて、よく聞かれるのが「ご法事は何回忌までお勤めすればいいんですか?」ということです。一般的には「三十三回忌」と考える方が多いそうです。これは神道で、「33年で荒御霊が和御霊(祖霊)になる」という考えが元になっているそうです。しかし、稱名寺はご存知の通り、神道の神社ではなく仏教の寺院ですので、この考え方は適当ではありません。

では、何回忌までお勤めすればいいのかというと、「出来る範囲、無理のない範囲でお勤めさせて頂きましょう」とお考えください。
「二百回忌」までお勤めしている家庭もあれば、故人をお葬式に出さず、その後の法事もしない家庭もあります。
法事は故人を偲びながら、すべてのものはうつり変わっていくという「諸行無常(しょぎょうむじょう)」の教えを静かに受け止める時間でもあります。同時に、自分自身もこのいのちを終えていきくという「いのち真実のすがた」について、このいのちを抱いてくださる「仏さま」についてを先立っていかれた先輩方から教えていただきましょう。

2017年01月02日