いま、ここでの救い1

浄土真宗の教えには、他の宗派・宗教にはない大きな特徴があると、先生から学ばせていただきました。
その特徴とは、“お聞かせに預かるその時にお救いが定まる”というものです。

具体的に何をお聞かせに預かるかというと、

「阿弥陀如来という仏さまは、私をお浄土へと救うために、いま“南無阿弥陀仏”と言葉のすがた・お念仏のはたらきとなって、私のいのちに入り満ちてくださっている」

このことをこの身にお聞かせに預かるその時にお救いが定まるのです。

それでは、阿弥陀如来がこの身に宿ると聞き信じ救いが定まると、いったい何が変わるのでしょうか。
ひとつ、例え話をさせていただきます。

 

幼いころ、従兄弟と遊んでいて祖父の本にハサミを入れてしまったことがありました。
祖父は大激怒。お仕置きとして物置に閉じ込められてしまいます。

しっかりと鍵が掛けられ、真っ暗闇な狭い空間の中。すぐに出してもらえるだろうと軽く思っていたのですが、何十分経っても扉が開く気配がありません。

次第に不安が募り、幼い私は「もしかしたらもうここから出られないのではないか」と、泣き出します。
従兄弟からは「泣いたって仕方がないだろ」「お前がハサミを持って来なければ」と叱られ、喧嘩が始まりました。

その時、外からコンコンと扉を叩く音が聞こえました。

「2人とも大丈夫?ばあちゃんが鍵を探して、すぐ出してあげるから安心してね」

祖母が扉を開けてくれるまでの間、私たちが真っ暗闇な狭い空間に閉じ込められていることは、依然として変わりません。
しかし、中の空気は「良かったね」「安心したね」「おばあちゃんに感謝だね」と和やかなものとなっていました。

その時はたった一言、「大丈夫よ、必ず助けるから安心してね」と声が聞こえてきたその時に、環境は変わりませんが、私たちの心が大きく変わったのです。

 

浄土真宗は、“お聞かせに預かるその時に、お救いが定まる”という教えです。
このいのちは今、暗闇の中や迷いの世界にいるのかも知れません。
その私に阿弥陀如来は「あなたを必ずお浄土へ救う仏が“なんまんだぶ”と届いてますよ。安心してくださいね」とおっしゃってくださいます。
この阿弥陀如来の仰せを聞くときに、私たちの人生の意味と目的が変わっていくのではないでしょうか。
そこに“お聞かせに預かるその時に、お救いが定まる”という浄土真宗の教えの肝要があります。

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2017年02月19日