浄土真宗の勤行は「大衆唱和」といわれるように、僧侶も参拝者も一緒に声を出しておつとめするのが基本です。
調和を大切にする宗教儀礼の場において、一体感は大切です。心理学の「同調効果」「姿勢反響」にも通じます。
ところが、法要前にお経の本を配って「今日のお経は○頁からです。こういう風に唱えます。一緒におつとめいたしましょう」といっても、なかなか積極的に読経してくれる人はいません。
確かに法事でいきなり「一緒にお経を唱えましょう」と言われても困ってしまうでしょう。
なるべく丁寧に説明はするようにしていますが、どうすれば「大衆唱和」が成立するのか日ごろから考えています。
先輩に相談したところ「一緒に読み始めるタイミングがわからない人が多いので、同音(一緒に読み始めるところ)で『ご一緒にどうぞ』とひと言いれると良い」と教えていただきました。
「それだけで変わるかな?」と思いましたが、試しにやってみたらとても効果がありました。
また読経の前に経本に掲載されていない表白などを読んでいると、その間に経本を閉じてしまう人も多いので、読経の始まる直前に「お経の本の○頁からおつとめします」とひと言ご案内すると、さらに効果が上がりました。
しかし法要中にあまりアナウンスを差し挟んでしまうと、儀礼の厳粛なる荘厳性が失われてしまう気もしてジレンマも感じています。
宗教者としてバランスをとりながら、宗教的情操を深める儀式の構成を検討していきたいものです。