ホルモン

仏教の特徴として、世界を創った創造主を想定しないということが挙げられます。ですから、「世界の始まり」を語ることはありません。
しかし、法則性は明らかに説かれます。「原因からは必ずそれに応じた結果が生じる」というのが、その法則性です。「縁起」という言葉で示されます。

すべてが原因と結果でつなっがているというのは、科学の基礎である因果律にも通じるものです。ただし、仏教と違って科学では因果律は絶対的な法則とは考えられていないようです。

今の自分という結果がどのような原因によって成立しているのかを様々な分野から考えるのは、仏教にも科学にも通じて興味深いのではないでしょうか。


例えば、体内において特定の器官で合成・分泌される「ホルモン」は、神経系と同じく人間をコントロールしている物質です。

そのひとつである男性ホルモンの一種“テストステロン”は、男性的なたくましさの源となるホルモンです。男性らしい顔立ちや骨格をつくり、声変わりなどに影響します。


このテストステロンが多い人は勝ち負けにこだわる傾向があり、ジッとしているよりも、目的に向かってエネルギッシュに動き回りたいタイプの人が多いそうです。
自分の信念を重視して行動するため、まわりと衝突してしまったり、ときには周囲を振り回してしまうこともあるかも知れません。


一方、テストステロンが少ないタイプは、優しく穏やかな性格の人が多いそうです。
平凡でもリスクが少ない生活を好み、コツコツとした作業も得意とします。
まわりとのトラブルはあまりないのですが、頼りがいがなくて決断力に乏しい面もあるのではないかと考えられています。

実はテストステロンが多いのか、少ないのか簡単に判断する方法があります。
自分の手を見てみましょう。人差し指と薬指ではどちらが長いでしょうか。


胎内でテストステロンを多く浴びた人ほど薬指が人差し指より長いそうです。


反対に、“エストロゲン(女性ホルモン)”を多く浴びた人は、人差し指が薬指より長いとされます。


テストステロン値が高いタイプは、パワフルに行動するため、政治家や芸能人、スポーツ選手に多いようです。他にも芸術家もテストロン値が高い傾向にあります。


対してテストステロン値が低いタイプは、教員・公務員・銀行員・プログラマーなど、コツコツした作業に向くといわれます。

〈参考『脳とホルモンの行動学―行動神経内分泌学への招待』より〉

とても興味深い内容ですが、あくまで無数にある要因のひとつであって、絶対的なものではないと参考程度に考えるべきでしょう。

ちなみに、薄毛は男性ホルモンが多いのが理由と聞きますが、そうではないようです。
脱毛作用(AGA・男性型脱毛症)は、男性ホルモンであるテストステロンが、ジヒトテストステロンという物質に変換されることで起こります。
このとき、変換するための酵素(5αリダクターゼ)の働きが強い人が薄毛になりやすい人といいます。

〈伊藤裕『なんでもホルモン』朝日選書〉

合掌

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2017年05月14日