浄土真宗のお坊さんが大切にしている「僧侶の心得」と呼ばれる三箇条の最初に、
終身僧侶の本分を守り、勉学布教を怠らないこと
とあります。僧侶の本分は勉学と布教にあるというお示しでしょう。
何を勉強するのかといえば、基本的にはお釈迦さまが説かれたお経の言葉や、高僧や親鸞聖人が残してくださった書物に記された言葉を勉強します。
勉強する際はそうした言葉が掲載されているお聖教(しょうぎょう)という本を用いるのですが、皆さんご存知の通り、お経をはじめとして仏教の言葉は多くが漢文で書かれ残されています。
そのため、普通は漢文で書かれたお聖教を用います。ただ、漢文に親しみがない初学者のために、漢文を日本語(古文)に書き下したものを用いることも多くなりました。
浄土真宗では『教行信証(きょうぎょうしんしょう)』という親鸞聖人が著された根本聖典がありますので、特にこの書物を一生かけて勉強するようにといいます。
「浄土真宗のお坊さんのくせに『教行信証』を全部しっかりと読んだことないなんて……親鸞聖人に申し訳ないと思わないんですか」
学生時代に勉強熱心なご門徒さんに叱られてから、時間があるときはなるべくお聖教を開くように……とは思いつつも、なかなかできない自分が情けない限りです。
今では勉強会に参加するだけでなく、自分で企画するようにもなりましたが、振り返ってみれば仏さまからのお手回しやたくさんの人たちのお育てがあったのだと感じます。