地元の友人

昔からの地元の友人が、転勤を終えて去年から東京へ帰って来ました。


月に1度は食事をする仲なのですが、友人が話す内容はもっぱら仕事の愚痴や人間関係の悩み。

実際のところ、私は話を聞いていても、友人が携わっているシステム開発の仕事のことも、職場の雰囲気も知りません。
返せる言葉は「へぇ」「そうなんだ」「大変だね」ぐらいのものです。

私は思い切って聞いてみました。

「色々と話してくれるけど、君の仕事や職場のことを知らないから、何も気の利いたことは言えないよ」

「いや、それでいいよ。だからこっちも話してるんだよ」

意外な答えが返って来たので、詳しく聞いてみると、友人も昔は職場の人に相談してい時期があったそうです。
しかし、そこには幾つかの弊害があったといいます。

まず、職場の人に愚痴を言うと、もしかしたら社内に漏れるかも……という不安があります。

次に、仕事を知っているが故に色々なアドバイスをされることも、言いたいことが全て言えずに遮られて消化不良になるようです。

そして、話を聞いて共感してもらって「俺もこんな経験があったよ」と相手のエピソードを語られても、自分と相手は違う人間なのでピンと来ないといいます。

「だから、何も知らず黙って『ふーん』と聞いていてくれる人に話すのが1番気楽だ」と語ってくれました。

もちろん、価値観はそれぞれですから「知っている人に聞いて欲しい」「アドバイスが欲しい」と考える人もたくさんいるでしょう。

ただ、人それぞれだからこそ、相手が知らないから話しやすいという人もいるようです。
「自分は知らないんだけどな……」と後ろめたい気持ちもあったのですが、知らないことも役に立つことがあると分かって嬉しかったです。

合掌

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2017年02月26日