前回の続きです。
法要や法話を配信する時には、お寺の持つ空間の力が失われてしまいます。
時間があるので、仏教書以外にもいろいろな本を読んでいるのですが、この「空間の力」はバカにはできないようです。
分かりやすい例として……とある芸人さんが「ウケやすい劇場」と「ウケにくい劇場」について、話していました。
笑いが取りにくい劇場とは、「観客席がステージよりも上にある劇場」だそうです。
ステージが客席より上にあると、上を向くから口が開く。そうすると、口角があがる。つまり、笑うまでの距離が近いっていうことですね。
反対に下を見ちゃうと、首の角が顎引く形になるじゃないですか。みなさん顎を引きながら試していただきたいんですけど、顎を限界まで引いて笑うって、めっちゃ体力使うんですよ。コストがかかるってことです。
そこでわかったんだけれど、人の感情っていうものは、筋肉に引っ張られることがあるな、っていうことです。
笑ってると楽しくなるし、悲しい顔してると悲しくなる。
たとえば、高い建物とか星空とか見た時に、自然とニヤニヤしちゃうじゃないですか。東京タワーみたらなんかニヤニヤしちゃうじゃないですか。
あれはシンプルに「その時点で口角が上がっている」っていう。
笑うまでの距離が近い。笑うまでに費やすコストが安い。ってことですね。
シンプルに人を笑わせたかったら、単純明快、上を向かせてしまえばいいんだってことです。
少し話は逸れましたが、同じような話は他の本にも載っていて、そこにも「お寺といった魅力的な空間」という記述がありました。
動画配信においては、そういった魅力が伝えにくいので、工夫が必要になるでしょう。
人気のある動画を意識して見ると、やはりテロップやカメラアングル、SE・BGMなど編集が凝っていて見やすい工夫が随所に散りばめられています。
空間の力に頼ることができない以上は、そうした演出によってコンテンツそのもののクオリティを高めていく必要があるのかもしれません。
担当している配信布教も、今後は少しでもご法義が伝わるように工夫をしていきます。
また、お寺の本堂の荘厳さを動画で演出するにはどうすればいいのかも、並行して考えてみます。
……という話を最近はZOOMで友人たちとしています。
合掌