『阿弥陀経』を読む9

★序文ー証信序「六事成就」④〈衆〉


阿弥|【与大比丘衆(よだいびくしゅ)からが「衆成就」ですね。

先生|お釈迦さまの説法を聞いていた多くの弟子たちの名前が列挙されているんだ。


阿弥|たくさんの人の名前がありますね。

先生|この弟子たちは、お釈迦さまが亡くなったあとの経典編集会議である結集(けつじゅう)にも同席していたんだよ。
   経典の内容に間違いないことの証人の役目も果たしていたんだろうね。

阿弥|【与大比丘衆】って具体的にはどんな弟子ですか?

先生|比丘は男性出家者のことだよ。


阿弥|あれ? じゃあ女性は聞いていなかったんですか……?

先生|女性は比丘尼(びくに)と言うけど、ここでは省略されているだけで、あとから「善女人(ぜんにょにん)」と出てくるよ。

阿弥|ということは、お釈迦さまの説法を聞くために男性出家者と女性出家者が【千二百五十人】集まっていたんですね。

先生|ただの出家者ではなく

皆是大阿羅漢(かいぜだいあらかん)
みなこれ大阿羅漢なり

だったとあるね。


阿弥|アラカン? また聞いたことのない言葉が出てきました……。

先生|阿羅漢は、サンスクリット語の「アルハン」を音で訳した音写語だね。

阿弥|音で訳した……あっ、じゃあ意味で訳すとどうなるんですか?

先生|「応供(おうぐ)」といって、「世間から尊敬されて供養されるに相応しい、さとりをひらいた徳のある人」ということだよ。


阿弥|阿羅漢って何かをお供えしたくなるくらいの凄い人なんですね!

先生|しかも、ただの「阿羅漢」じゃなく「阿羅漢」だからね。

阿弥|そういえばその前の「比丘」にも「比丘」と付いてますよ。
   普通の「阿羅漢」「比丘」とは違うんでしょうか。

先生|次に【衆処知識(しゅしょちしき)とあるから、世の人びとによく知られていた「阿羅漢」や「比丘」ということで敬いの意味も込めて「大」と付いているんじゃないかな。


阿弥|そんな有名人が1250人も……凄い豪華な説法会だったんですね。

先生|この1250人というのは他の経典にも出てくる数字だよ。

阿弥|何か特別な意味がある数字なんですか?

先生|優樓頻螺迦葉(うるびんらかしょう)・那提迦葉(なだいかしょう)・伽耶迦葉(がやかしょう)の三兄弟がお釈迦さまと神通力勝負に負けて、1000人の弟子を引き連れて仏門に入ったんだよ。


阿弥|残りの250人は?

先生|舎利弗と目連という弟子は、もともとサンジャヤという別の思想家の弟子だったんだけど、250人の門弟とともにお釈迦さまのもとにやってきたんだ。

阿弥|1250人という数字にもそういう特別なエピソードがあるんですね。

先生|この1250人は初期仏教教団を支えた大切な方たちでもあるんだよ。


阿弥|凄いメンバーが『阿弥陀経』の説法を熱心に聞いていたんですね~。

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2018年10月28日