磁石の譬え2

磁石は不思議なはたらきを持っています。


鉄釘に磁石を近づけると釘が動き出します。


本来、自分では決して動くことがない釘が動いたのは何故でしょうか。


それは磁石の磁場に釘が入ったからです。


では、動き出した釘はどこに向かうのでしょうか。


もちろん、磁石に向かって動いていき、磁石にくっつきます。


磁場に入った鉄釘が磁石の方へ動くのは、実は鉄釘が磁石に変わったからです。


そのため、磁石にくっついている鉄釘に他の鉄釘を近づけるとくっつきます。

磁石にはただの鉄釘を磁石に変えるはたらきがあります。


見た目は変わらないので、今まで通りに錆びた釘は錆びた釘のまま、折れた釘は折れた釘のままです。


しかし、内実は磁石に変わり、ただの鉄釘とは違ったはたらきをするようになります。


磁石の磁力が鉄釘を磁石に変えるように、阿弥陀仏の本願力は、凡夫の心の内面に入り満ちて、仏さまを仰ぐ人間へと変化させます。
仏さまなど見向きもしなかった凡夫を、仏法を真実であると受け容れる者へと育て、教えを慶ぶように導き、念仏を申す者へと仕上げるはたらきこそが本願力です。【

(参考・引用『親鸞聖人の教え・問答集』梯實圓)

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2018年08月05日