「お経とは何か?」と尋ねられたら、皆さんはどのように答えますか?
「僧侶が唱えているもの」
「漢字ばかりで意味が不明」
「多分ありがたいことが書いてある」
上手に答えられる人は少ないかもしれません。
先日、祖母の法事でお寺にお参りし、生まれて初めてお経を聞いた阿弥(あみ)さん。
気になることがあったため、お寺の住職を兼業している先生の元へやってきました。
阿弥|先生、ちょっとお時間よろしいでしょうか。
先生|どうしましたか?
阿弥|亡くなったお祖母ちゃんの法事に、この前はじめて参加したんです。
先生|へぇ、偉いじゃないか。
阿弥|それでその法事のときにお坊さんが「一緒にお経を読みましょう」と言って、お経の本を配ってくれたんです。
でも私、お経なんてお焼香する時のBGMぐらいにしか思ってなかったので驚いちゃって……。
先生|なるほど。
阿弥|それだけじゃなく、「お経は生きているみなさんが聞くためのものです。亡くなった人に聞かせるものじゃないんですよ」とか言うんで、家族もみんな困ってしまって。
先生|どうして困ってしまったの?
阿弥|だって、いきなりわけのわからない文字がたくさん並んだものを自分のために読めと言われても……、あれって本来はお坊さんがひとりで読むものですよね。
そもそも亡くなった人のためにお経を読むのがお坊さんの仕事じゃないですか。
先生|じゃあどうしてそのお坊さんは「みんなで一緒にお経を読みましょう」と言ったんだと思う?
阿弥|言われてみたらなんでですかね? 私たちがお経を聞いているときに手持ち無沙汰にならないようにとか?
先生|きっと亡くなったお祖母さんだけでなく、阿弥さんにもお経の内容が関係あるからじゃないかな。
阿弥|お経が私に関係あるんですか……?
先生|お坊さんは他に何か言ってなかったかな?
阿弥|そういえば、お経が終わってから、いろいろとお話をしてました。
先生|どんな話をしていたのか覚えている?
阿弥|う~ん、覚えてないです。
先生|恐らく一緒に読んだお経の話だと思うよ。
……どうですか阿弥さん、せっかくの機会だし、空いているときでいいから、一緒にそのお経の内容を読み解いてみませんか?
阿弥|(えぇ~、正直あんまり興味ないなぁ)
……まぁ今までお経に意味があるなんて知りませんでしたし、お坊さんである先生から解説をしていただけるなら面白いかも知れませんね。
じゃあ明日、お寺でもらったお経の本を持ってきます。
こうして、阿弥さんは先生とお経を読むことになりました。