仏法には明日と申すことあるまじく候ふ[『蓮如上人御一代記聞書』より]

浄土真宗では、「仏法に明日はない」とよく言います。人間のいのちは壊れやすく、次の瞬間にはどうなるか分からないから、明日に延ばさず、いま仏教の教えを聞きましょうという戒めです。

これは仏教に限らず、日常の生活についても言えることではないでしょうか。
仕事でも勉強でも、本当は今日やってしまえばよいものを、面倒だから先送りしてしまうことは誰にでもあります。これは、明日も明後日もいのちが変わりなく続くと、根拠もなく思っているからです。

明日がどうなるか、実際には誰にも分かりません。事故に遭うかもしれないし、急病になるかもしれない。

自分の命は、遠い人類の祖先から受け継いできて与えられたものです。言い換えれば、自分でつくりだしたものではなく、恵まれたいのちであります。

同様に、今日という一日も、今というひとときも、自分でつくりだしたものではありません。自分の外から与えられたものであり、二度と来ないものです。

そう考えると、せっかく恵まれたものを無駄にせず、今の尊さを大事にしたいと思えるようになるのではないでしょうか。

〈参考『人生は価値ある一瞬』より〉

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2017年05月01日