傷つけるのは 傷ついているから

人間は追い詰められて余裕がなくなると、思いがけない行動をしたり、驚くような発言をすることがあります。
疲れていていつもであれば何でもないことにイライラしたり、不安が募ってつい言わなくてもいいことを言ったり、そんな経験が皆さんにもないでしょうか。

「人類の歴史は争いの歴史だ」という言葉があります。人間はいつの時代も争いの中で生きてきました。争いを好まない人たちは、どの時代でも争いを好む人たちに攻められ追い出され滅ぼされてしまいます。
今も生き残っている私たちは、争いに勝ってきた側の人間です。相手を負かせることで自分の居場所を確保していこうとする闘争本能が強く残っているのでしょう。だからこそ自分の身が危なくなって余裕がなくなると、周りを攻撃することで自分の安全を死守しようとするのです。

自分自身がそうであれば、周りの人も同じです。もしも自分に対して高圧的な人や攻撃的な人に出会うことがあれば、その人はそうやって相手を攻撃して自分を守らなければならないくらいに追い込まれているということです。

自分自身にも余裕がなければ関わらないようにするしかありませんが、そうした相手の怒りの裏にある悲しみや孤独ということに耳を傾けてみると、少し相手を理解することができるのではないでしょうか。

また、日本語を話す人たちの中で生まれ育った私たちが自然と日本語を用いる人間となるように、いつもイライラしている人は怒りに囲まれ、怒りをぶつけられて生きてきた過去があるのかも知れません。そうして自分を支える拠りどころがないために、いつも不安で何かと戦うことでしか自分を保つことができないという人もいます。

自分が人を攻めている時、そして相手が自分を攻めている時は、その背景にある満たされない思いに目を向けてみることが大切なことです。

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2017年07月01日