花と仏教12

本堂や仏壇、墓石にお花をお供えすると同時に、私たちは「お花のすがた」を仏さまからお下がりとしていただきます。


お花が私たちに柔らかな心を届けるのは、やはり見た目がとても綺麗だからではないでしょうか。


「花はなぜ美しいのか」という疑問について、植物学者・稲垣栄洋さんが次のように述べていました。

花の美しさや香りは、人を喜ばせるためではない

花に思いを重ねることは自由だが、花にとって色や香りは虫や鳥を招いて受粉を成功させるための仕掛けである。
昆虫は人間の目と違い、紫外線によって対象を見ている。そのため、蜜のありかがすぐわかり、受粉の成功率が高まる。
鳥は人間と同じように色を見ているが、鼻は利かない。色だけに頼っている。
花は朝・昼・晩と咲く時間帯がそれぞれの種で異なり、昆虫の活動に合わせて香りを出している。
甘い香りによってミツバチが寄せる花もあれば、悪臭によってハエを寄せる花もある。


つまり、植物は受粉のために虫や鳥を対象として花を咲かせているのであって、人間のために花を咲かせているわけではないようです。


ところが、その花のすがたが人間の眼から見るとたまたま綺麗に映る……というだけの話といいます。


何はともあれ花の美しさを通じて、「七宝諸樹」「七重宝樹」と経典に説かれている阿弥陀如来の極楽浄土の美しさを味わうことができるのではないでしょうか。


きらびやかな浄土の荘厳を、仏華を通じて味わわせていただき、故人が先に往生し、私も後に阿弥陀如来に抱かれて往生させていただく浄土への「欣求の心」を発(おこ)していく……というのが、仏前にお花をお供えする意義ではないでしょうか。

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2021年01月02日