信憑性は分かりませんが、浄土真宗本願寺派は信者数(?)が仏教教団の中で最も多いらしいです。
ここまでの大教団となったのは、室町時代の蓮如上人(れんにょしょうにん)の力が大きいです。
宗祖である親鸞聖人から数えて8代目の宗主にあたり、残した功績は数知れず。現在の本願寺教団の礎を築いたことから「中興の祖」と呼ばれます。
爆発的に門徒を増やした布教法の1つに、浄土真宗の教えを手紙の形式で分かりやすく綴った『御文章(ごぶんしょう)』が挙げられます。最初は門弟の要望に応える形で個人に宛てられたものでした。後に、宗門内の人々に広く公開されるものとして、大量に作成・授与されるようになります。
仮名まじりで書かれているだけでなく、当時の世間でよく用いられていた言葉や言い回しを駆使した飾らない文章も、大衆に広く受け入れられる要因であったようです。門徒の寄合のなかでは、代表者が読み上げることで、文字を読めない人にも音声を通して教えが受け渡されました。
▲稱名寺の御文章
蓮如上人在世の間から、子息・門弟によって『御文章』は集められました。代表的な80通を、蓮如上人の5男で9代宗主の実如上人が本にまとめたものが今でも読まれています(まとめたのはその息子の円如上人だという説もあったようです)。実際に出版されたのはその次の10代宗主 証如上人の時代でした。
「聖人一流章(しょうにんいちりゅうしょう)」をはじめ、浄土真宗の教えを端的に示された名文も多く、現在でも法事や法話の最後に1番大切なこと(肝要)として拝読されます。
「でも『御文章』って言葉が古くて、聞いてても全く意味が分からないですよね」
ある日、一緒に勉強していた後輩僧侶から衝撃発言が飛び出しました。
蓮如上人はみんなに易しく分かりやすく教えを広めるために『御文章』を製作されたのに、まさかこんな意見が身内から出るとは……!
確かに室町時代の言葉をそのまま読んでも、現代では通じにくいということは頷けます。
けれども、出来るだけお聖教の言葉は当時の雰囲気のまま拝読したい……そこで
原文(上段)と現代語訳(下段)を印刷した『現代版 御文章』を用意しました。『御文章』を拝読する場面では、これを配布して原文をみんなで読むことにしています。読み終わったものは持ち帰ってもらいます。
現代語訳だけでなく、裏面には解説も掲載しているので、家で読んでくれたらいいなぁ……と、淡い期待を抱きながら配ってます。
今のところ完成しているのは8通だけ。80通コンプリートを目指します。
合掌