数珠の起源と歴史を見てきました。今回は数珠の珠の数についてです。
『金剛頂瑜伽念珠経(こんごうちょうゆがねんじゅきょう)』を読んでみると、「お念珠には4種類の分別がある」とあり、「1080珠は上品(じょうぼん)」「108珠は最も勝れている」「54珠(108の1/2)は中品」「27珠(108の1/4)は下品」と説かれています。
『仏説校量数珠功徳経(ぶっせつきょうりょうじゅずくどくきょう)』には108珠を満数として、それが難しければ54珠・27珠・14珠を用いるように……とあります。
『陀羅尼集経(だらにじっきょう)』も同じように108珠を満数として、54珠・42珠・21珠があげられています。
『仏説木槵子経(ぶっせつもくげんじきょう)』においても108珠とあります。
他にも36珠(108の1/3)や18珠(108の1/6)といった記述があるらしいです。
概ね108珠がベースとなるようですが、この108という数字を聞いて最初に思い出すのが、
除夜の鐘ではないでしょうか。撞く回数の108は、煩悩の数とされています。
百八煩悩の数え方については諸説があります。例えば
「四苦八苦=4989=4×9+8×9=108」や、
「眼・耳・鼻・舌・身・意の六根と好・悪・平の三と浄・染の二と過去・現在・未来の三を掛け合わせたもの(6×3×2×3=108)」や、
「九十八結と十纏(98+10=108)」など。
中国では中国思想の節気と結びつけた説明がなされたといいます。〈『岩波仏教辞典』〉
ただ、前述した経典では108を満数と見ていますし、インドでは非常に数が大きいことを108と表すようです。〈『岩波仏教辞典』〉
百八煩悩とは「108個の煩悩」と考えることもできますが、「人間の持つ数え切れないほどの煩悩すべて」と受け止めたいと思います。
この百八煩悩を断つために、108珠の数珠を用いるようになりました。
そして前述したように108をベースとして54(1/2)・36(1/3)・27(1/4)・18(1/6)といった略式のものも多く普及しています。
他にも詳しい出典は不明ですが、金剛界百八尊・五十四位・二十七聖賢・十八学人・観音十四無畏・四十二位・二十一位などを象徴するという説もあるそうです。〈『密教辞典』〉
ちなみに私はいつでも念珠を使ってお参りをできるように、二輪の腕輪念珠を常に身につけています。
元々は108珠だったのですが、そのままではサイズが合いませんでした。そこで、購入するときに「腕に合うように何個か珠を抜いてください」とお願いすることに。
すると次のような返答が。
うーん……。
合掌