記念品

本堂の掃除をしていたら、こんなものが出てきました。


「第24代即如門主 伝灯奉告法要 記念」と書かれています。
伝灯奉告法要とは、本山・西本願寺の住職、かつ浄土真宗本願寺派の門主が代替わりをすることを記念して行われる法要です。
ちょうど今(平成28年の秋から平成29年の春まで)は、「第25代即如門主 伝灯奉告法要」が勤められています。

つまり、この箱には先代の代替わり法要(1980・昭和55年)で配られた記念品が入っているわけです。


中を開くと、巻物が。


『善信聖人絵』と書いてあります。

「善信聖人」とは浄土真宗の宗祖である親鸞聖人のことなので、この巻物は親鸞聖人のご生涯が描かれている絵巻物ということです。

解説が同梱されていたので、記録用に書き綴っておきます。

善信聖人絵(重要文化財)解説
親鸞聖人の絵伝として流布しているのは、四幅の御絵伝である。これは、絵巻物の本願寺聖人親鸞伝絵(4巻)の詞書と絵図とを分け、詞書は御伝鈔(ごでんしょう)、絵図は竪幅(たてふく)の掛軸(4幅)としたものである。現行本は、本願寺第3代 覚如上人が康永2年(1343・上人72歳)書写した本によっているが、元来、伝絵の著述はこれより遙かに古く、永仁3年(1195年・上人26歳)で、それに何回か増訂を加えたのが現行本である。
覚如上人は早くから親鸞聖人の顕彰を志していたが、永仁2年が聖人の33回忌に当るので、大谷廟堂(後の本願寺)を整備し、報恩講式を作り、遺徳を鑚仰したが、翌3年10月さらに著述されたのが伝絵の初稿本である。
ところで、その初稿本、あるいはそれに最も近い本が本山所蔵の善信聖人絵で、この度その絵図を影印したのがこの一巻である。善信とは聖人は假号にも実名にも用いられた名であり、絵とは絵巻物のことである。この本を現行本と対照すると、上巻では蓮位夢想段がなく、最後の入西鑑察段は前段の料紙の余白に書き加えている。また下巻では、最後の廟堂の図は墓標ばかりで、聖人の影像は存しない。これは恐らく廟堂の原型を示したものであろう。また詞書では、上巻初めの聖人の俗姓は著しく簡単であり、入西鑑察段は現行本と異る所がある。すなわち当初は右の2段はなく、上巻も6段であったが、後に入西鑑察を加え、その後蓮位夢想を増し、詞書も訂正されたわけで、そのことをこの善信聖人絵はよく示しているが、最後の上人の奥書も永仁初稿のものばかりで、古体を存している。
この本の詞書は覚如上人の筆とする説が有力である。また絵図は美術史家の間には上下両巻各々筆者が異るという説もあり、年代は永仁より少しく下る、という説もある。いづれにしても、この本は現存古写本の中最も古体を存するというべく、その点頗(すこぶ)る貴重であるが、絵としては大和絵の和やかな風韻をただよわしながら、構図も面白く描かれているので、当代絵巻物の中でも屈指の作といえよう。なお、この本は嘗(かつ)て時宗の向福寺琳阿が所持したことがあり、首尾に時宗流の六字名号や彼の名を記しているので琳阿本ともいわれている。
龍谷大学名誉教授・宮崎圓遵

合掌

前の投稿

次の投稿

2017年04月07日