仏前の供花(くげ)は書院造りの発達につれ、生花(しょうか|生け花)として鑑賞するようになりました。
花瓶と草花の調和、花と座敷の調和、花瓶と花の立て方などが工夫され、池坊(いけのぼう)流のような立花(りっか)形式へと発展します。
やがて浄土真宗の仏華もその作法に倣うようになりました。
西本願寺の仏華の真(しん)には、松の葉をそのまま捌いて真にした「捌真(さばきしん)」が基本です。
御正忌報恩講法要をはじめとした重要な法要では、松の葉を針金や糸などで束ねて真を巻き付けた「巻真(まきじん)」や、
梅の枝を真にした「梅真(ばいしん)」、
笠形にした太枝に松の葉を組み合わせたものを取り付けて真にした「笠真(かさじん)」などもあります。
四季に応じた色花を混ぜて挿す「雑花式(ぞうかしき)」が基本的な立て方です。
宗祖降誕会や慶讃法要、結婚式などには、松のみを用いた「松一式」を用いることもあります。
「大日三部経」のひとつ『蘇悉地羯羅経(そしつじからきょう)』には、
・臭花(くさいにおいのする花)
・刺樹生花(とげのある花)
・苦辛味(苦く辛みのある花)
・木槿花(むくげ|アサガオの別名)
などはお供えしないとあります。
これに倣って浄土真宗も「毒花や悪臭を放つ花、とげのある花、蔓を巻いて咲く花」などは仏華に用いません。
ちなみに西本願寺の仏華はこちらから見ることができます。
【本願寺の主な法要における仏華の主要花材】
○平日
松の捌真に四季の色花を挿し混ぜる
○報恩講法要
松の巻真、南天の実、菊、水仙、椿、赤目柳
○修正会
松の真、梅の受、柳の副(そえ)、熊笹の流(ながし)、菊、椿、南天の実、ハボタンなどの色花を挿し混ぜる
○春季彼岸会
松の真、彼岸桜、れんぎょう、桃、菊、その他の色花を挿し混ぜる
○立教開教法要・宗祖降誕会
松一式
○盂蘭盆会
高野槇の真、蓮の花、萩、夏菊、けい頭、その他の色花を挿し混ぜる
○秋季彼岸会
松の真、けい頭、シオン、菊、その他の色花
合掌