花と仏教2

敬いの心をもって仏さまにお供えする「香・華・灯」の供養具のひとつが仏華です。


仏さまや神さまにお花をお供えする習慣は、仏教の生まれたインドで古くからありました。
浄土真宗においても、御尊前にお香や灯明とともにお花をお供えします。


浄土真宗におけるお寺の本堂やご家庭のお仏壇のお飾り(荘厳|しょうごん)は、「すべてのいのちを分け隔てなく慈しむ阿弥陀さまの功徳」の素晴らしさを表わし、讃えるため(仏徳讃嘆)にあります。


もちろん、お花もそのひとつです。お花の正面が供養の対象である仏さまではなく私たちの方に向いているのは「私たちにかけられた仏さまの慈悲」を表わしている……と味わわれることが浄土真宗では多いようです。


浄土真宗の仏華は、尊前の荘厳(三具足・五具足)に用いられます。室町時代に床の間が作られ、床飾りとして用いられるようになったのがこの形式の起源といわれます。


床の間の飾りが仏前の荘厳具として発展したのは、浄土真宗の第八代・蓮如上人以降です。


とはいえ、「香・華・灯」の荘厳がそれ以前になかったわけではありません。インドでは古来から用いられた形式であり、日本でも浄土真宗の第三代・覚如上人の伝記を示した絵巻物『慕帰絵(ぼきえ)』のある場面の背景に、「満開の桜をさした花器(中央)・香炉(右)・燭台(左)」が描かれています。


別の場面では「柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)の絵像・梅・竹」という3幅の掛け軸の前に「香炉(中央)・花瓶一対(両脇)」が描かれています。


この「花瓶一対」のお飾りは、西本願寺・阿弥陀堂における法要時の「ご本尊前に御花一対&中央に土香炉だけを置く」という独特の荘厳「双華(そうか)」として残っています。

合掌

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2020年12月01日