「お坊さんは歌が上手いんですか」
と聞かれることがあります。
確かにお経を朗々と唱える僧侶であれば、歌も上手いと思うのは自然かもしれません。
ただ、経験上は人による気がします。
というのも、読経の発声と歌の発声は根本的に違うようです。
これは文化や建築の違いなど、さまざまな要因によるものといいます。
また、世の中の音楽は多くが440~442Hzの周波数であるのに対し、読経や雅楽などの伝統的な日本の音楽は現在430Hzの周波数を採用しています。
つまり、同じ音を出しても、読経の方が低くなるのです。
本当に音楽センスがある人は、この辺りを完璧に使い分けることができるので、読経も歌も上手です。
しかし使い分けが上手くない人は、お経なのに歌のような発声をしていて、いまいち有り難みがないおつとめになっていたり、
カラオケに行ってもお経の耳になっていて微妙に音が取れなかったりしてしまいます。
学生時代からカラオケに慣れ親しんでいる若い世代は前者が多いかもしれません。
私も使い分けに苦労していて、京都で勉強していた時は変な癖が付かないようにカラオケで歌わないようにしていました。
といっても、ここまで気にしている僧侶は少ないかもしれません。
声明の先生が言うには専門職の方でも使い分けられていない人がいるそうです。
正直なところ、専門家ではない私には違いがよくわかりません。
ただ、いろいろなお坊さんのおつとめを聞いていると「声もいいし、音もバッチリなのに、なんかイマイチだな」と感じることもあるので(逆もあります)、やはりおつとめならではの発声や雰囲気は宗教儀礼に重要なのでしょう。
合掌