数珠念珠4

以前、『築地本願寺新報』に「念珠・数珠について」という特集記事を書かせていただきました。


浄土真宗本願寺派で法要の時に用いる「二輪念珠(ふたわねんじゅ)」のデザインは、基本的にひとつしかありません。


しかし、平生に用いる「単念珠(単輪念珠・一輪念珠)」は、デザインが多種多様です。単念珠を見ると、各僧侶のこだわりがうかがえます。


僧侶の業界内では、プレゼントで念珠を頂くことも多いです。僧侶の資格を取ったときには、近隣寺院のご住職から瑠璃の念珠をいただきました。

頂き物などを含めると、さまざまなデザインの単念珠を10種類くらいは持っています。凝り性の人は何十種類も所持しているそうです。

基本的に念珠の素材は大きく分けると、木系・石系・その他(琥珀や珊瑚、貝、真珠など)の3種類に分けられます。


木系(木材や木の実)は念珠の起源であり、軽くて扱いやすいので、一番人気の素材です。使い込むほどにツヤが出る素材もあり、経年変化を楽しむ老僧が持つ菩提樹の念珠などは、テカテカと黒光りしています。


石系はズシリと重く、高級感が漂います。念珠の糸が切れやすく、冬は冷たいので、私はあまり持っていません。


夏は涼しげな印象を与えるので、この緑色と黄色の水晶の念珠を用います。


その他の素材は琥珀や珊瑚といった高級素材が多く、扱いが難しい印象です。琥珀は軽くて、経年変化も楽しめるので、好きな僧侶も多いのではないでしょうか。


京都で勉強しているときに先生から、

「参拝者の気が散るから、真っ赤や真っ青みたいな派手な念珠を使わない方がいい」

「冷たい印象を与えないように、できるだけ冬場は木の念珠を使いなさい」

「僧侶の服装はほとんど同じなので、輪袈裟と単念珠で僧侶の個性が出る。なるべく輪袈裟と単念珠の色などは統一感を持った組み合わせにして、見た目に違和感が出ないようにしましょう」

と指導を受けました。


「好きなものを使えばいいのに……」と思いますが、「僧侶はお経や法話を聴かれる以上に、見られているという意識を持ちなさい」と指導がありましたし、ダンサーや芸人など人前に立つ機会の多い業界の人たちから「衣装や小物は想像以上にパフォーマンスに影響を与えるのでこだわりを持った方がいい」と聞いたので、今はなんとなく意識するようにしています。


京都での勉強を終えて東京に帰ってきたときに、友人からもらった「牛の骨で作られたドクロの念珠」だけは未だに使いどころが分かりません。

合掌

前の投稿

次の投稿

ブログ一覧

2020年03月02日