正義感

常例布教で調布市覺證寺(かくしょうじ)細川先生のお話をお聴聞しました。成先生の勉強会を主催してくださっていていつもお世話になっている先輩です。


仏法を聞くときに邪魔になるのが「私が正しい」という思いです。しかし、それは捨てられないだけでなく、自分ではなかなか気がつけません。
朝日新聞の『悩みのるつぼ』に掲載された次のような人生相談を紹介されていました。回答者は岡田斗司夫さんです。

相談「注意せずにはいられない」

ルールやマナーが気になるおじさん(68)です。

道路の右側を走ってくる自転車に「自転車は左側ですよ」、スマホの画面を見つめる歩行者に「歩きスマホはやめましょう」、信号無視で横断歩道を渡る人に「赤信号ですよ」、喫煙場所ではないところでたばこを吸っている人に「ここは禁煙ですよ」……。

街に出ると、様々なルール違反が目につき、こんなことを口に出して注意しています。

注意した人たちから、「ごめんさい」「ありがとう、気を付けます」などと返ってくることはほんの少し。

「うるさいなあ」「私の勝手でしょ」というのが普通の反応で、「俺のルールでは自転車は右側通行なんだよ」「車が来てなきゃ、赤信号でも渡っていいんだよ」などと言い返されることもあります。

妻や友人からは、「そのうち殴られたり、刺されたりするよ。危ないからやめろ、やめろ」と言われています。

一体、どうすればいいんでしょうね。

「ごめんなさい」「ありがとう」と言ってもらえるような注意のしかたがあれば教えてください。
それとも、妻たちが言うように、注意をするのはやめた方が良いのでしょうか。

一番いいのは、私が口を出すまでもなく、みんながルールとマナーを守ってくれることだとは思うのですが。
なぜ妻の助言を聞き入れないのですか?

「危ないから止めてくれ」と言われても、あなたは妻に感謝したり、自分のこれまでの言動を謝ったりしてないんですよね?

「みんながルールとマナーを守って」と心から願うあなたですら、実は妻や友人の心からの忠告を無視するマナー知らずの人間です。

この矛盾に気付かなかったこと。これが「人に注意しても感謝してもらえない」理由です。

なので自動的に以下の関係が成立します。

「なぜ私は妻の忠告を無視するのか?」という問いへの答えが、そのまま「なぜ私の助言を、人は感謝してくれないのか?」の解答になる。

では上の関係を応用します。

もし妻が「やめないと離婚」と言い出したら、あなたは人への助言を控えるはず。
つまり「妻の強硬な姿勢にビビる」わけです。

同じ原理で、あなたが歩きスマホしてる人をビビらせれば、助言成功率はあがります。屈強なボディガードを連れ歩くとかね。
これが「北風作戦」。

もう一つ「太陽作戦」というのもあります。

妻が嬉しそうに「今日のあなた、他人への口出しをガマンしてくれた。偉い。すごい」と言ってビール出してくれたら、ちょっと機嫌良くなるでしょ?

同じ原理で、人に注意する度に五百円程度のお小遣いをあげる。
「歩きスマホは止めてね」と言う時に、相手に五百円玉を握らせます。
これまでの「助言のみ」よりもかなりの高確率で相手は納得してくれると思います。

ポイントは「相手を気持ちよくして、利益を与えること」。

おわかりでしょうか?

もともとが歩きスマホしたり、赤信号で道を渡る「愚か者」を相手にしてるんですよ。
そんな愚か者が「道理を説くだけで心服するはず」と期待する方も同様に愚かです。

正しく賢い人なら、もちろん助言されれば素直に従うと思います。
でもそんな人たちは最初から歩きスマホなんかしませんよ。

楽を考えちゃダメです。

ルールやマナーも「守れない」人たちに助言するんだから、彼らのプライドや損得勘定に訴えかけて、「自分からやめた」と思わせないと。

まず第一歩は自分です。

「どうすればプライドの高い私は、妻の助言に感謝して従うことができるのか?」 朝日新聞に相談する必要ありませんよ。

あなたの悩み解決のヒントは、すべてその素晴らしい奥様の助言に隠れているはずです。

合掌

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2018年02月22日