過去から逃げると 同じあやまちを繰り返す

人はなぜ、同じあやまちを繰り返すのでしょうか。
それは過去を引き受けずに、逃げているからです。

よく見られるのは、他人や環境のせいにするケースです。
たとえば、スポーツの世界で、「気温が高かったから」「風が吹いたから」と、どの選手でも共通する条件を敗因に挙げる選手や指導者がいます。
そうした言い逃れは、選手自身が受け止めるべき敗因をどこかに追いやっているに過ぎません。

スポーツだけでなく、国家や企業においても、また、個人においても、同じように「条件が悪かったから」「そのときは仕方がなかった」「考え方は正しかった」などと理屈をつけて、うまくいかなかった過去をやむを得なかったこととし、忘れ去ろうとする例はいくつもあります。
そのときはそのとおりだったのかもしれませんが、「条件が悪かった」だけで終わりにしてしまっては、同じあやまちを繰り返してしまうだけです。それでは過去から逃げる未来しかありません。

失敗したのはどうしてなのか。過去のあやまちを冷静に振り返り、そのうえで今後はどうすべきかを考えて生きる。
それこそが、過去から逃げない未来ではないでしょうか。

理屈のうえではそういう生き方が正しいのですが、苦い失敗や恥ずかしい体験など過去の嫌なことは、二度と思い出したくないのが人間の素直な感情です。
国や企業の場合はともかく、個人の場合はそれをわざわざ人に話す必要はないにしても、思い出したくないからといって、なかったことにしてしまうのは、過去から逃げているのと同じです。

たとえ仕方がなかったとしても、それが間違っていたら「私が間違えた」「私がミスをした」と口にしてみましょう。
すると、「私はこういう失敗をする人間なのだ」と、自分の中で過去をありのまま引き受ける姿勢が、未来を変えることにつながります。
その結果、自分も生きやすいだけでなく、他人の失敗にも寛容な生き方ができるでしょう。

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2019年05月01日