世界に変革を求めるならば、自分自身を変えることだ。

「病気や事故で入院をした」「会社が倒産して失業した」「行きたくない部署に異動させられた……」

「諸行無常」、すべてのことは移り行き、とどまることがないのですから、人生はいたって不本意なものといえます。
仏教の教えに照らしても、一時的に不本意なことがたくさんあるのは当然で、むしろ、死ぬまでずっと順調に行く人生など滅多にないと言ってよいくらいです。

当の本人にすれば、深刻な現実を直視すると絶望的な気分になるでしょう。
しかし、目先の利害や得失、あるいは差し迫った苦しみにとらわれて、あまり狭い範囲で解決策を考えてしまうと、かえって人生を狭く厳しいものにしてしまうだけです。

たとえ大病で入院し、今の仕事ができなくなったとしても、「人生において、いつか病気と向きあうときが来る。そのときが早く来ただけだ」と考えてみる。
そして、「入院生活で、これまで目をそらしてきたものと向き合い、世の中を知る貴重な体験ができた」と視点を転じてみれば、入院前の自分の都合のよいように固めた世界が広がり、その体験は後の人生を豊かなものにしてくれるはずです。

また、ある会社で失業をしたとしても、次の会社で別の道が開ける場合もあります。
とにかく、「これしかない」と人生の目標を固定して狭い自分に閉じこもっていては、人間関係をそれだけ狭くし、生きづらくなるだけです。
不本意な出来事を人生の一つの転換点として受け止め、もう少し広い立場で考えてみる。
そして、そのときどきのご縁を受け入れながら、違う方向へ柔軟に変わっていけばよいのです。

実際、世間で活躍されている人の中には、そうしたちょっとしたご縁でそれまでとは違う道に進み、こころ豊かに人生を生きておられる方が少なくありません。
不本意なことに出遭っても、それによって、視野を狭くした窮屈な世界から解放されて、狭い世界にとらわれない生き方をすることができれば、新しい道が見つかるでしょう。

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2020年11月01日