子ども叱るな来た道だ 老人笑うな行く道だ

日本人の4人に1人が65歳以上の高齢者である超高齢社会を迎えました。

年を取ると身体が弱り、歩く速度も、階段を上り下りする速度も遅くなります。

進歩発展を是とし、役に立つか・立たないかという価値判断を優先しがちな今の世の中では、若い人の目には、高齢者はあまり役に立ちそうになく、じゃまな存在に映るかもしれません。

高齢者にすれば、人生を60年、70年と生きてきた自負があるかもしれませんが、多少寂しい気がするとしても、若者に理解してもらいたいと多少なりとも期待しないことです。

若い人もまた、無理をして高齢者を理解しようとする必要はありません。

お互いに育った時代が違う以上、理解しあえないのが自然で、理解を期待すると無理が生じます。

とはいえ、人間社会はいろいろな方がいて成り立っています。お互いがお互いを理解できない存在として認識したうえで、受け入れて、一緒にいるひとときを共に楽しく過ごそうとすることは可能です。

たとえば、若い人が高齢者のさまざまな体験談や思い出話を聞くのもよいでしょう。

私は学生時代、年配の学者の方やお坊さまが好きで、あちこち訪ね歩いたことがあります。
現役の先生とはまたちょっと違った雰囲気を持っておられ、いろいろなお話を聞かせてもらえるだけでなく、自分の行く先を思い描くためのモデルになるお姿を探すのが、いわば私の趣味でした。

老いは、誰もがいずれ行く先です。二十歳の若者でも、一日が経てば、一日分老いに近づくわけで、それは逃れられない現実です。

年を取っていく自分の将来の姿のモデルとして、高齢者から学ぶようにしてはどうでしょうか。

〈『人生は価値ある一瞬』より〉

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2020年02月01日