親鸞聖人の主著であり、浄土真宗の根本聖典である『教行信証(きょうぎょうしんしょう)』。
「浄土真宗の僧侶は一生をかけて読みなさい」と、先生によくいわれます。
しかし、どうやって勉強したらいいものか……。
そこで、4年前から真宗学の権威である内藤知康和上を築地本願寺に招いて、平均月1のペースで勉強会を開催しています。今のところ全体の2割弱が終わりました。先は長いです。
さらに自主勉強として、今年から『本典研鑽集記(ほんでんけんさんじっき)』を読み始めました。
『本典』とは、『教行信証』の別名で、『略典(りゃくでん)』といわれる『浄土文類聚鈔(じょうどもんるいじゅしょう)』に対応した呼称です。
『本典研鑽集記』の初版が発行されたのは昭和12年。現在では古本屋を回っても手に入れることが難しく、私も知り合いに譲ってもらったコピー本を読んでいました。
読みづらくて困っていたところ、先輩から「改正新版として復刊されているよ」と教えてもらい、さっそく購入することに。
覆刻再々版の序
本書は1937(昭和12)年にその初版が発行され、1969(昭和44)年に覆刻再版されたのであるが、その経緯は再版に際して付された大江淳誠和上の「再版の序」に簡潔に述べられている。
それによれば、本書が本願寺派宗学院とは不可分の関係にあったことが明らかに知られる。
要するに、宗学院は『教行信証』の研鑽を中心にして存続してきたということである。
いうまでもなく、『教行信証』は浄土真宗立教開宗の書であり、これを「本典」を拝読すること宗学の基本であるとされてきた。
それは宗学院設立当初から現在に到るまで一貫して変わることのない姿勢である。
そして、その際に先学者による講義録とともに座右に置かれてきたのが本書『本典研鑽集記』であった。
ところが、本書は近年は容易に入手し難い状況にあったので、たまたま方丈堂出版からの申し入れがあったことを幸いにして、覆刻再々版する運びとなったのである。
なお、宗学院では研究員を中心にして毎週の講義日に『教行信証』の講義録を要約・整理する時間を設けているが、その際に再版本の本文の誤字・誤植を逐一指摘してもらい、それを巻末に正誤一覧表として付した。
この作業に対して深甚の謝意を表し、覆刻再々版の序とする次第である。
平成24年10月
宗学院長 徳永一道
合掌