等活地獄には東西南北にそれぞれ門があります。
その外には16の小地獄があります。
①屎泥処(しでいしょ)
とても熱い屎泥が満ち満ちていて、堅いくちばしを持った無数の虫がビュンビュン飛んでいる小地獄です。
罪人はそこで苦い屎泥を食べながら、虫に骨の髄まで食い尽くされます。
生前に「鹿や鳥を殺した人」が堕ちます。
②刀輪処(とうりんしょ)
高さが10由旬の鉄壁で周囲をかこまれ、その中には激しく燃える火が充満している小地獄です。
この火の熱さは、「人間の世界の火が雪に感じられるくらいの熱さ」といいます。
この猛火に触れると、罪人の身体は芥子のように細かく砕け散ります。
しかも熱い鉄が雨のように降り注ぎ、
刀の林があって鋭い両刃の刀が雨のように降ってくるそうです。
生前に「物を貪って殺生した人」が堕ちます。
③瓮熟処(おうじゅくしょ)
罪人を大きな瓶の中に入れて豆のように煎る小地獄です。
生前に「生き物を殺し、煮て食べた人」が堕ちます。
④多苦処(たくしょ)
数え切れないほどの激しい苦痛を受ける小地獄です。詳しい苦しみの内容は「たくさんあり過ぎて説き尽くせない」とあります。
生前に「人を縄で縛る。杖で叩く。遠路を走らせる。断崖より突き落とす。煙で燻して苦しめる。子どもを脅す──など、さまざまに人を苦悩させた人」が堕ちます。
⑤闇冥処(あんみょうしょ)
真っ暗闇の中で火に焼かれる地獄です。
この火の勢いはダイヤモンドのように硬い岩山を削り砕いて砂粒にしてしまうほど。
熱風に吹かれると、鋭い刀で切り裂かれるような痛みが走ります。
生前に「羊の口をふさいで窒息死させたり、亀を瓦で挟んで圧死させるなどの罪を犯した人」が堕ちます。
⑥不喜処(ふきしょ)
炎に包まれた世界で、昼夜を問わず火が焚かれている小地獄です。
クチバシから火を噴く鳥や、恐ろしい声でうめく野犬・狐がウヨウヨいて罪人たちを食い尽くします。辺りには罪人の骨や肉が散乱しています。
生前に「法螺貝を吹いて、太鼓を打ち鳴らし、恐ろしい声をあげて鳥や獣を殺した人」が堕ちます。
⑦極苦処(ごくくしょ)
断崖絶壁の下にあって、鉄の炎で焼かれ続ける小地獄です。
生前に「わがまま気ままに生き物を殺した人」が堕ちます。
出典である『正法念処経(しょうぼうねんじょぎょう)』に記述があるのは以上の7つで、以下の9の小地獄は名前だけ説かれています。
⑧衆病処(しゅびょうしょ)
⑨両鉄処(りょうてつしょ)
⑩悪杖処(あくじょうしょ)
⑪黒色鼠狼処(こくしょくそろうしょ)
⑫異異回転処(いいかいてんしょ)
⑬苦逼処(くひつしょ)
⑭鉢頭麻鬢処(はちずまびんしょ)
⑮陂池処(ひちしょ)
⑯空中受苦処(くうちゅうじゅくしょ)
合掌