地獄先生2

地獄は、地上から1,000由旬(ゆじゅん)ほど真っ直ぐ潜ったところにあります。


由旬とは仏典に出てくる距離の単位です。1由旬がどれくらいの長さかは諸説ありますが、仮に1由旬=15kmで計算すると1,000由旬は「15,000km」となります。


私たちの足下の奥底深くに広がる世界として描かれていますが、これは物理的な話ではなく象徴表現です。


地獄はひとつの世界として存在するのではなく、8つの階層に分かれていると『往生要集』にはあります。地下8階まであると考えると分かりやすいでしょう。


それぞれの階層には、縦横が1,000由旬の大きなメインフロア「大地獄」に、小さなフロア「小地獄」が周囲に16部屋が配置されています。


まず、もっとも浅い地下1階が、人間や動植物の生命を奪ったもの堕ちる「等活(とうかつ)地獄」です。等活とは、蘇生や更生を意味します。


鉄の爪を持った罪人同士が傷つけ合い、ともに血肉が尽きて骨だけになるまで戦わねばならない世界です。

▲等活地獄(「六道絵」)所蔵 / 大英博物館

戦う相手がいなければ、地獄の鬼(獄卒)の鉄杖・鉄棒で身体を粉々に打ち砕かれる、もしくは鋭利な刀で魚や肉を料理するかのように切り分けられます。


息が絶えたらそこで苦しみが終わるわけではありません。

時折吹く涼しい風、空から聞こえる「等しく活(よみが)えれ」の声、そして鬼たちが鉄叉で地面を打って叫ぶ「活(い)きかえれ(活活)」の声によって、身体が元に戻り同じように苦しみを受け続けます。


苦しみを受けるといっても、永遠ではなく「500歳」までの寿命です。


ちなみに、地獄の1日は四天王の寿命の500歳に相当します。


そして、四天王の1日は人間世界の50年です。


等活地獄の一生を人間世界の時間で計算すると「約1,620,000,000,000(1兆6千2百億)年」です。

合掌

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2019年06月03日