地獄先生4

等活地獄の下には、人間や動植物の生命を奪ったもの(殺生|せっしょう)と盗みをはたらいたもの(偸盗|ちゅうとう)が堕ちる「黒縄(こくじょう)地獄」があります。広さは等活地獄と同じです。


墨縄とは、木材などに線を引くときに使う道具のことです。罪人たちはこれで線を引かれて切り刻まれます。


罪人は熱い鉄の地面に臥せさせられ、熱い鉄の縄で全身に縦横の黒縄をひかれます。その印のどおりに熱い鉄の斧やノコギリ、刀などを使って細切りにされます。


または熱い鉄の縄を縦横無尽に交差させた場所に罪人は追い込まれ、吹き付ける悪風によって縄が絡まり、全身の肉や骨を焼かれます。


他にも左右に大きな鉄の山があって、頂上にはそれぞれ鉄の幢を立て、幢から幢へ鉄の縄を張り、その下にたくさんの熱した釜がある場所があります。

〈photo by tumbler(animus-inviolabilis)〉

罪人は山へ追い上げられると、鉄の塊を背負わされ、綱渡りをさせられ、落下して身体の原形がなくなるまで煮られます。

この苦しみは等活地獄全体の10倍の苦しみです。このあとに続く③衆合④叫喚⑤大叫喚⑥焦熱 ⑦大焦熱までは、同じように「前の地獄の10倍の苦しみを受ける」とあります。

〈photo by Seattle Art Museum〉

獄卒たちは罪人を責めながら

「怨むべきは自分の心 この怨みこそが悪事を働く
人は怨みとらわれて 閻魔の元へ送られる
お前は独りで地獄に焼かれ 悪事の報いに食い尽くされる
妻や子ども、兄弟といった家族であっても 誰もお前を救うことはできない」

と怒鳴りつけます。

〈photo by tumbler(animus-inviolabilis)〉

等活地獄と同じように寿命が決まっており、黒縄地獄は「1,000歳」までです。

計算式は少し異なり、黒縄地獄の1日は忉利天(とうりてん)の寿命の1,000歳。


忉利天の1日は人間世界の100年に相当します。


黒縄地獄の一生を人間世界の時間で計算すると「約12,960,000,000,000(12兆9千6百億)年」です。
等活地獄の8倍にあたります。前の地獄の8倍の寿命になるという地獄の前後関係は、下層の地獄も同様に引き継がれます。

合掌

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2019年06月05日