地獄先生7

衆合地獄の小地獄を紹介します。


●悪見処(あっけんしょ)
罪人の目の前で、自分の子どもが獄卒たちに酷い目に遭わせられる小地獄です。


わが子が目の前で苦しむ姿を見て、罪人は悲しさに耐えられずに悶絶します。

子どもが終われば、次は自分の番です。逆さづりにされて、熱した銅の液体を体内に注がれます。心も身もボロボロになる苦しみを永遠に受けなければいけません。

生前に「他人の子を誘拐して虐待を加え、泣き叫ばせた人」が堕ちます。


●多苦悩処(たくのうしょ)
かつての恋人が目の前で火だるまになる小地獄です。

急いで走り寄って火を消そうと抱き上げると、身体がボロボロと崩れ去ってしまいます。

が、罪人が呆然としているとすぐに復活。驚いて逃げ去ろうとすると断崖から転げ落ちます。


その先で口から火を噴く鳥やキツネが襲いかかってきて、罪人の身は食い尽くされます。

生前に「同性愛者であった人」が堕ちる地獄です。当時の仏教における差別意識がうかがえます。


●忍苦処(にんくしょ)
罪人たちは獄卒によって木のてっぺんにひっかけて逆さづりにされ、下から猛烈な火が焚かれて身体を焼かれる小地獄です。

焼き尽くされ終わると、すぐにまた生き返ります。


熱さに耐えられずに叫ぼうとすると、口から火が入って全身が焼き焦げになります。

生前に「他人の配偶者を奪った人」が堕ちます。

『往生要集』には16の小地獄のうち、以上の3つだけが挙げられています。


出典である『正法念処経(しょうぼうねんしょぎょう)』には残りの13の小地獄についての詳しい記述があります。

調べてたので興味のある人がいれば掲載しますが、ひとまず省略します。

『正法念処経』の成立は、性愛論書『カーマ・スートラ』の成立と同時期と考えられています。
恐らく、当時の仏道修行者の性問題について厳しく誡めたのが衆合地獄の教説ではないでしょうか。

合掌

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2019年06月08日