人間は誰もが幸せを願って生きています。政治や経済、科学技術も人間が幸せに生きるためにあると言ってもいいでしょう。
しかしその私たちの願いを断ち切るのが「死」という避けられない現実です。
日本だけでなく、世界中では誠に悲惨な事件や事故が起きています。
自分の願いを積み上げていっても必ず幸せになれるとは限らないことを教えられます。
仏教の根本姿勢は「物事をありのままに見る」というところにあります。
物事をありのままに見るということは、私たちの願いが叶うことではありません。
人間が「誕生」がすると同時に「老い」「病気」「死」があります。
「安心」があると、次の「不安」が生じます。
そうであるからこそ仏教の開祖であるお釈迦さまは、私たちに阿弥陀如来という仏さまお説きくださいました。
阿弥陀如来という仏さまは私たちが助けを求めていった先に待っていてくださるのではなく、すでにいま立ち上がり、ありのままの私を足下から照らし支えてくださいます。
日々の暮らしのさまざまな場面、嬉しいことや辛いこと、悲しいことがあったとき、阿弥陀如来の「あなたを絶対に見捨てない」という心を思い起こし、受け止め味わってゆきましょう。
仏さまの心が言葉となって届いているのが南無阿弥陀仏です。
南無阿弥陀仏とお念仏を申すときに「私はひとりではいなかった」「ともに生きる阿弥陀如来さまがいてくださった」と思い起こし、「浄土」といういのちの行方を知らされ、生きる喜びを知らされます。