『往生要集』には、叫喚地獄に16ある小地獄の中から2つに触れています。
●火末虫(かまつちゅう)
ありとあらゆる病気にかかる小地獄です。
▲火末虫(国宝「地獄草紙」)所蔵 / 東京国立博物館
ここでかかる病気はすべての世界の人が1日で死に至るほど重く、さらに病人の身体からは虫が這い出し、皮膚や肉、骨、髄を破ってむさぼり食います。
生前に「酒に水を売って飲ませた人」が堕ちます。
●雲火霧(うんかむ)
燃えさかる炎が100メートルもの高さに達する小地獄です。
▲雲火霧(国宝「地獄草紙」)所蔵 / 東京国立博物館
獄卒たちは罪人を捕まえると、その炎の中に放り込みます。
罪人はつま先から頭のてっぺんまで、ドロドロに溶けて消えてしまいます。
しかし、次の瞬間には火の中から引きずり出され、元通りに復活。これを永遠に繰り返します。
獄卒は罪人に向かって、
於佛所生癡 壞世出世事 燒解脱如火 所謂酒一法
「仏の元で愚を晒し 世俗と仏法の理を破り さとりの種さえ焼き尽くす それが酒の恐ろしさ」
と歌います。
合掌