叫喚地獄の次が「大叫喚(だいきょうかん)地獄」です。
人に嘘をつく「妄語(もうご)」の罪を犯した人が堕ちます。
叫喚地獄と縦横の広さや責め苦の内容は同じです。ただし、これまで見てきたすべて大地獄・小地獄の10倍の苦しみを受けます。
ここでも獄卒が偈(うた)を詠みあげます。
妄語第一火 尚能燒大海 況燒妄語人 如燒草木薪
嘘の炎は激しく燃える 大海さえも焼き尽くす だから嘘つき本人は 草木や薪ほどよく燃える
叫喚地獄と同じく、『往生要集』描かれているのは2つの小地獄です。
●受鋒苦(じゅふく)
熱した鋭利な鉄の針で、唇と舌とを貫かれる小地獄です。
あまりの苦痛に泣き声を出すことさえできません。
生前の罪について『往生要集』に記述はありませんが、『正法念処経』に「お布施に関するトラブルを起こした人」が堕ちるとあります。
●受無辺苦(じゅむへんく)
獄卒が焼けた金鋏で罪人の舌を引き抜く小地獄です。
抜かれても舌はすぐに生えてきて、再び抜かれます。
同じように目玉をくり抜かれ続けたり、刀で身を削られたり、とにかく多種多様の苦を受けます。
前記と同じく『正法念処経』を読むと、生前に「海で導く立場(船長)でありながら、賊(海賊)と同じ心となって、商人の財産を奪った人」が堕ちます。
ちなみに『正法念処経』には、17・18の小地獄についても説かれています。謎です。
他に地獄について説かれた経典に『観仏三昧海経(かんぶつざんまいかいきょう)』があります。巻五「観仏心品(かんぶつしんぼん)第四」には18の数字が大量に出てきます。
ここに何か関連性がありそうですし、詳しく調べれば阿弥陀如来の18願に対する味わいも深まる……かもしれません。
合掌