第6の地獄は「焦熱(しょうねつ)地獄」です。
火が常に身につきまとい、炎に焼かれて耐え難い苦しみを味わいます。
ここまでの5つの地獄へ堕ちる因である在家の五戒(殺・盗・淫・飲酒・妄語)に加え、仏教に背く誤った考え方「邪見」の罪を犯した者が堕ちる地獄です。
具体的には「因果の道理」を否定する見解をさします。善悪の果報を認めないということは、縁起の理を説く仏教と根本的に対立する立場です。
したがって、「五見(仏教以外の思想〔外道|げどう〕となる身見・辺見・邪見・見取見・戒見取見)」の中でももっとも罪が重いとされます。
焦熱地獄の獄卒は、罪人を捕らえるとまず焼けた鉄の地面に寝かせます。次に仰向けにしたり、うつ伏せにしたりしながら、頭のてっぺんから足の先まで巨大な灼熱の鉄棒で叩きこねます。
結果、罪人は肉団子、もしくはハンバーグのようになります。
他にも十分に焼いた鉄の煎り鍋に入れて強烈な火であぶり、左右に転がして煎餅のように罪人の全身をこんがりと焼き上げます。
また、大きな鉄の串を尻から頭まで貫き通し、何度も引っくり返しながらあぶることで、罪人の目や耳、鼻、毛穴、口の中まで火でいっぱいにします。
まだあります。熱した釜に放り込んだり、鉄のやぐらに閉じ込めたりすることで、焼けた鉄の炎で骨の髄までしっかりと焼き上げます。
焦熱地獄の火を人間世界に持ってくると、それが豆粒大の火の粉であっても世界が一瞬で焼き尽くされます。
地獄の罪人たちの身体は草のように弱々しいので、これだけ焼かれたらひとたまりもありません。
焦熱地獄の罪人から見れば、これまでの地獄の火は「雪」や「霜」に思えるそうです。
合掌