「短念仏はどうして6回なんですか?」と後輩に聞かれました。
短念仏とは、「重誓偈」や「讃仏偈」、「阿弥陀経」などの読経作法の際に用いるおつとめです。
前回紹介した『勤式作法手引書』で調べてみました。
『蓮如上人作法之次第』には次のようにあります。
(61)一 念佛をかろく申べし、讚をもかろく出すべしと、條々仰事侍き。每朝勤の上の百遍は、代々の報謝の心と候。百返よりたらぬもわろし、あまるもわろしと仰事也。
(63)一 本堂の阿弥陀経は、〔中略〕阿弥陀経念仏百返よりあまり候へば、實如上人は物を御ならし候て御成敗候し。たゞ百返よく申べしと被仰き。
(64)一 御影堂の毎朝の短念仏は、古はながく御入候き。「陀仏」とはきこえず「阿仏」と御申候やうに、「陀」の字あたらで御申候き。子細あるべし。
どうやら蓮如上人の時代は短念仏を100回も唱えていたそうです。
1952(昭和27)年発行の『勤式作法の書』「本山平日勤行」には「短念仏(8句)」と記されています。
同書の「門徒の法要について」の「読経作法」では「三部経又は一巻経の読誦の際には六句」とあります。
百華苑「意訳 礼拝聖典」では、1949(昭和24)年発行の初版本に「短念仏(8句)」とありますが、1952(昭和27)年改版以降は「短念仏(6句)」とあります。
さらに、永田文昌堂「在家勤行集」では、1953(昭和28)年発行の初版本に「短念仏(6句)」とあります。
つまり、短念仏の句数が「6句」となったのは、1952(昭和27)年頃からでしょう。「どうして6回か」は分かりませんでした。
合掌