行年と享年

質問の中には「どっちでもいいですよ」と答えるもの、「どっちでもいいけど、こっちが有り難いですよ」と答えるもの、答えてはいけないものなど幾つかの種類があります。


ある程度の知識があれば答えられる質問に関しては、事前の勉強は必要かもしれません。


例えば、「行年と享年はどっちが正しいのでしょうか」と聞かれたらいかがでしょうか。

私は聞かれたときに、「(確か同じ意味だったよなぁ)」と思いつつ、「同じ意味なので、どっちでもいいですよ」と答えました。


少し調べてみたところ『勤式作法手引書』に次のようにありました。

過去帳などに亡くなった人の行年や享年を○○歳と書きます。

『大漢和辞典』によると「行年」の項には「①とった年数。経過したよわい②この世に生きながらえた年数。享年」とあり、「享年」の項には「天からうけた年数。寿齢。又、王朝の年数などにもいう」とあります。

『広辞苑』には「行年」は「享年に同じ」とあり、「享年」の項には「(天から享けた年之意)死んだ者がこの世に生きていた年数」とあります。

『広説仏教語大辞典』には「行年」も項に「こうねんとも読む。現在の年齢」とあります。

以上のように、「行年」「享年」のいずれを用いてもいいが、本願寺派では「行年」を使用することが多いようであります。〈後略〉

やはり、どっちでもいいようです。が、選べるのであれば「行年」とするのが無難なようです。

この本には他にも「短念仏はなぜ6回なのか」「どうして報恩講では五十六億の和讃を使うのか」といった法式故実について解説があります。

合掌

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2019年08月22日