破邪顕正3

「お線香は立てるのか、寝かせるのか」「お焼香は何回すればいいのか」「手を合わせるときに鐘(鏧|きん)は何回叩けばいいのか」などなど、よく仏事に関する質問を受けます。


深川倫雄和上は「破邪ではなく顕正をすること」、つまり「これはいけません」「こうしなさい」といったマイナスの言葉よりも、「阿弥陀如来が尊い」「仏さまが有り難い」というプラスの言葉を大切にされていました。
僧侶の仕事はご門徒さんを叱ることではなく、阿弥陀如来の慈悲を伝えることです。


もちろん、形として決められた作法があるので、聞かれれば「お線香は寝かせますよ」「お焼香はいただかずに1回ですよ」「鐘はおつとめする時に決められた回数を叩くんですよ」としっかり答えます。


ですが、「浄土真宗では位牌を使いません」「お仏壇に故人の写真をいれてはいけません」と一生懸命に仏事のHow toを話すよりも、僧侶にはもっと大事な役目があるはずです。


一方で、質問してきた側が形式を重んじたい気持ちはよくわかります。
「恥の文化」という言葉があるように、世間に恥ずかしくない見た目や作法は最初におさえておきたいところでしょう。

「できるだけ私が直接ご門徒さんを指導・教育することなく、仏事について伝えられないだろうか……」

と、いろいろ模索していて、辿り着いたのが和歌山教区教務所が発行する「阿弥陀さまと私」というパンフレットです。


「浄土真宗の葬儀・仏壇・納骨ガイド」とあるように、浄土真宗のマナーや作法がまとめられています。


関西で発行されたものなので、東京とは事情が異なる部分もありますが、「仏具の名称」「お仏壇のお飾りの仕方」「お墓の建て方」「浄土真宗の言葉遣い」「葬儀ガイド」「法事のこころえ」など、ご門徒さんが気になりそうな部分を網羅しています。


自分の口で言うことを発行物に代替しているだけではありますが、「こうしましょう」「これはいけません」といちいち言わなくても済むので、仏さまの話に集中することができます。

6年間くらい配り続けた結果、ある程度の形式・作法は浸透してきたように思います。気になる人はコチラからご注文ください。

合掌

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2019年08月20日