お経の中には、浄土から仏さまや菩薩がお迎えにくる描写があります。
実は、浄土だけでなく、地獄に行くときにも来迎があるようです。善導大師の『法事讃』や源信和尚の『往生要集』に『観仏三昧経』を引用した記述があります。
父を殺したり、母を傷つけたり、家族を罵ったりなどの罪を犯した者は、いのちの終えるときに、銅でできた犬が口から出てくる18台の車が迎えにやって来ます。
車体が黄金でできていて、宝玉の屋根がついた車です。地獄の炎が美女に姿を変えて同乗していて、罪人は「そこに乗り込みたい」と喜んで思います。
いよいよいのちが終える瞬間になると、突然、身体中に寒気が走って声を失い、「暖かい火が欲しいなあ。そうだ、この車に乗って美女たちにどこかへ連れて行ってもらおう」と考え、黄金の車に乗り込みます。
すると、周りにいた美女たちが鉄斧を手に持ち始め、罪人の身体をあっという間に切り刻んでしまいます。
他にも、迎えに来た蓮華に座ったら、蓮華が発火して燃やされることもあるそうです。
この『観仏三昧経』の記述を承けて、『往生要集』では懐感(えかん)和尚の『釈浄土群疑論』から「浄土の来迎と地獄の来迎の見分け方」として
①生前の行い
②臨終の状態
③呼びかけられる言葉
④お迎えの仏さま
の4つを挙げています。
合掌