「はたらく」とは 「傍(はた)」を「楽」にすること

健康に恵まれ、その他の条件が許す者は働くのが当たり前とされてきました。
しかし同じ労働をするにしても、喜んで意欲的に働いている人もいれば、生活のために仕方なく働いている人もいます。

現在は科学技術の発達によって、農業や漁業など重い肉体労働をする人や、職人など熟練した技術を用いる人の割合が減り、工場やオフィス、店舗で単調な労働や画一的な労働をする人が増えています。
農業や漁業は自然の移り変わりにこころを配り、さまざまな恵みに感謝するといった世の中とのつながりを意識できました。
しかし都市型の労働が増えてくると、なかなかそれを感じられにくくなっています。

もし労働が「食べていくためだけ」「お金を稼ぐためだけ」のものだとすると、まことに寂しい気がします。
確かに日々の暮らしを支え、欲しいものを手に入れるために働いているという面はあるでしょう。それを否定したら生きていけません。

ですが自分の労働の成果が、たとえどんなにささやかであろうとも社会や人類に貢献していることにも思いを及ぼしてほしいと思います。
同時にその労働を通じて社会の一員となっていること、また自分も社会によって支えられ、生かされている事実にもこころを向けてほしいと思います。

職業によっては、学校の先生のように社会に役立っていると思いやすい労働もあれば、工場での組み立て作業など、社会や人類に貢献していると直接には感じ取りにくい労働もあるかもしれません。
後者についていえば、実際の作業は社会に役立っているとの手応えがもうひとつ薄かったとしても、出来上がった製品が実際に活用されているところを目にすれば、「ああ、自分のつくった製品はこんなふうにみんなの役に立っているのか」と実感できるのではないでしょうか。

たとえ目にする機会がなくても、世の中に必要とされる商品なり、サービスを提供しているからこそ、自分の会社は成り立っているのだということは、少し想像力を働かせればわかるはずです。
自分はこの労働を通して社会の一員になり、世の中に貢献していくのだと考えることで、労働の意欲も湧いてくるのではないでしょうか。

〈『人生は価値ある一瞬』〉

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2022年10月01日