続いて、『往生要集』には、阿鼻地獄の苦しみの大きさについて解説があります。
「第1の等活地獄から第7の大焦熱地獄までの7つの地獄と、それぞれに附属する小地獄のすべての苦しみを合わせた苦しみの1000倍以上が阿鼻地獄の苦しみ」といいます。
そのため、阿鼻地獄の罪人たちが、大焦熱地獄の罪人たちを見ると「まる他化自在天のような享楽の世界だ」と感じるようです。
同じ欲界であっても、人間界や天界の住人は、阿鼻地獄の空気に触れただけで消え失せてしまいます。
というのも、この地獄の罪人たちは、恐ろしいほど凄まじい臭気を放っているためです。
しかし、その臭いが人間の世界まで届かないのはなぜでしょうか?
その答えは出山(しゅっせん)・没山(もっせん)というふたつの巨大な山があって、その臭気を遮断しているからです。
阿鼻地獄の苦しみの様相をすべて聞いた人は、すぐに死んでしまうといいます。そのため、経典には阿鼻地獄のことは1000分の1程度しか説かれていません。
もしも説く人、聞く人がいれば血を吐いて即死します。
合掌