お別れ

「『20代で亡くなった人のお葬式』と『80代で亡くなった人のお葬式』って、まったく雰囲気が違いますよね」と葬儀社さんの方に言われたことがあります。

確かにそうかもしれませんが、そこにある悲しみの深さは比べられるものではありません。

以前、先生から次のようにお聞きしました。

85歳のおじいさんが亡くなって、83歳のおばあさんが残された場合に「85歳くいらで人が亡くなるのは仕方がない」と簡単に考えてしまうことはないでしょうか。

40代の方が亡くなったら「奥さんは辛いだろうな」と誰でも思います。けど、それが80代であれば「当然、本人も家族もある程度の覚悟はあっただろう」と思っている人は多いかもしれません。

お坊さんの中にも、「40代の方のお葬式」「お子さんのお葬式」に行くとなると辛いが、「80代の人のお葬式」であれば「みんなの悲しみもそれほど深くないだろう」「少し気が楽だ」と考える人もいるようです。

しかし、そんなことは決してありません。80代になってパートナーを失うことほど辛いことはありません。
何十年と連れ添ってきた方が目の前からいなくなってしまうという悲しみは、他人には分かりません。
お連れ合いを失うことは、今までの自分の過去が奪われることと同じです。
楽しかったことも、思い出す度に悲しさが湧き上がります。

その時に簡単に「おじいさんはお浄土で待ってるから大丈夫ですよ。またすぐに会えますよ」と不必要なことを言う人がいます。そういうことは言わない方がいいです。
何かこちらが前向きなことを言えば解決されるように思うかも知れませんが、そうではありません。
そこには大きな大きな、どうすることもできない悲しみがあるということをまずは理解しましょう。

血を分けた家族であっても本当の自分のことをすべて理解はしてくれません。

ましてや他人が相手の心中を推し量るということは非常に危険な行為です。

しかし、それしかできないから凡夫なのでしょう。

合掌

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2018年06月28日