今日も取材で奈良県へ。
奈良国立博物館で開催されている特別展「糸のみほとけ」を観覧しました。
仏様といえば絵に描かれたものか木で彫ったものを考えます。
ところが、日本で最初に作られた仏様は糸で織られた繍仏(しゅうぶつ)だそうです。知りませんでした。
〈photo by TOKYODO〉
以前、法話でも取り上げた国宝「天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)」が展示されていました。
飛鳥時代と鎌倉時代の断片が継ぎ接ぎとなっています。綺麗に残っている方が飛鳥時代の刺繍だというから驚きです。
修復が終わった「綴織當麻曼荼羅(つづれおりたいままんだら)」も見ることができました。
ただ残念ながら、痛みが激しくて描かれた様相はほとんど読み取れません。
中将姫の時代(奈良時代)の日本にはない技術なので、中国・唐で織られたと考えられています。
〈photo by kawashimaselkon〉
面白かったのは、現代の技術で「綴織當麻曼荼羅」を織り上げた特別企画。
復元されたのはわずか23cm×19cmでしたが、それでも40日の時間を要したそうです。もし実物と同じ4m四方で作ろうとしたら8年はかかるといいます。
復刻された少しの断片だけでも物凄く綺麗でした。これが原寸大で目の前にあったら、本当にお浄土を体感できるかもしれません。
髪の毛で仏・菩薩や名号、梵字を編んだ作品が多いのが気になりました。
当時の人たちは髪の毛を織り込むことで自分と仏様が一体となることを願ったのでしょうか。
まだまだ仏教の世界は知らないことばかりであると改めて感じました。
合掌